不妊症

不妊症とは

「なかなか赤ちゃんができない」「なかなか妊娠できない」「もしかして不妊症?」 不妊に関してこうしたお悩みやご不安を持っている方はとても多くいらっしゃいます。不妊症の定義は、結婚したご夫婦が赤ちゃんを欲しいと考え、避妊せずに一般的な夫婦生活を1年以上送っていて、赤ちゃんを授からないこととされています。以前は2年とされていましたが、2015年8月29日に日本産婦人科学会が1年に短縮することを発表していますので、日本では1年以上、赤ちゃんが授からない場合、不妊症であるとされます。 避妊を行わず一般的な夫婦生活を行っているご夫婦が赤ちゃんを授かるのは、全体の80%が1年以内、2年以内になると90%と報告されています。 現在では、6組のうち1組のご夫婦が不妊症であるとされています。不妊症は決して珍しいことではなく、とても身近な問題です。早めに的確な診療を受けることが重要ですから、「なかなか赤ちゃんができない」と感じたらできるだけ早く専門医にご相談ください。

 

不妊症の原因

不妊症にはさまざまな原因があり、女性、男性、そして男女両方に原因があるケースに大きく分けられます。

主な原因

女性

  • 卵巣:卵巣機能不全
  • 卵管:狭窄、癒着、閉鎖、水腫
  • 子宮:筋腫、奇形、発育不全、子宮内膜症
  • 内分泌ホルモン異常
  • その他

男性

  • 精巣(睾丸)無精子症
  • 精路閉鎖
  • 性交障害
  • 内分泌ホルモン異常
  • その他

ご夫婦ともに検査を受けることが重要

夫婦の写真WHO(世界保健機関)の統計調査では、不妊症の原因が男性側にあるケースは約4組に1組、男女ともに原因があるケースが約4組に1組となっており、不妊の原因に男性がかかわっているケースとして考えると約2組に1組となります。 不妊症の検査は女性が受けるケースがとても多いのですが、不妊症の約半分は男性に原因がありますので、ご夫婦ともに不妊症の検査を受けることが不可欠です。 不妊症では、複数の原因が複雑に絡み合って不妊という症状が起こっているケースがほとんどです。また、妊娠しやすさには年齢も大きくかかわっており、年齢を重ねると妊娠率が徐々に低下していきます。 そのため、赤ちゃんが欲しいと思っていて妊娠しない場合には、早めに専門医へ相談されることをおすすめしています。

不妊症の検査内容

不妊治療のファーストステップは、ご夫婦で受けていただく検査です。不妊の原因は、女性・男性・そして男女ともにある場合があり、検査を受けても原因がわからないこともあります。 最初に原因をしっかり見極めることで適切な治療も可能になります。治療は原因によって大きく異なってきますが、タイミング療法をまず行って、その後ステップアップさせていくことが一般的です。 不妊症の検査では、主にホルモン検査、超音波検査、粘液検査、精液検査などを行います。早い段階で適切な治療を受けるためにも、必ず、ご夫婦で検査を受けるようにしてください。

不妊症の主な検査

男性が受ける検査
  • 精液検査(コンピューター解析)
  • FSH・LH・プロラクチンなどホルモン検査など

精液検査については、以前受けた検査データをそのまま使える場合もあります。まずはご相談ください。

女性が受ける検査

女性の場合、月経周期によって卵巣や子宮の状態、ホルモンの値などが大きく変化するため、月経周期に合わせた検査も必要になります。

いつでも可能な検査
  • 基礎体温(BBT)
  • 子宮頸がん検査
  • クラミジア検査
  • 甲状腺機能検査
  • 感染症スクリーニング検査
  • 抗精子抗体検査
  • 抗ミュラー管ホルモン検査(AMH)
  • CA125(子宮内膜症などの活性値検査)
  • テストステロン検査

基礎体温は、ご自分で毎日計測して記録する検査です。不妊治療中は常時記録する必要があります。 子宮頸がん検査・クラミジア検査は月経中以外に受けていただけます。 子宮頸がん検査・クラミジア検査・感染症スクリーニング検査・抗精子抗体検査に関しては、以前受けた検査データをそのまま使える場合もあります。まずはご相談ください。

女性の受ける検査で、決まった期間に受けるもの
月経期
  • FSH・LH・プロラクチンなどホルモン検査
  • 前胞状卵胞数の計測(超音波エコー検査)
低温期(卵胞期)
  • 子宮卵管造影検査(HSG)
  • エストロゲンホルモン検査
  • 発育卵胞の計測(超音波エコー検査)
  • 通気検査
  • 子宮鏡検査

子宮卵管造影検査に関しては、以前受けた検査データをそのまま使える場合もあります。まずはご相談ください。

排卵期
  • フーナーテスト
  • 排卵診断薬検査(尿検査)
  • 卵胞計測・子宮内膜厚の計測(超音波エコー検査)
  • 子宮頚管粘液検査
高温期(黄体期)
  • プロゲステロンなどホルモン検査
  • 排卵後の黄体・子宮内膜厚の確認や計測(超音波エコー検査)

各検査の内容

精液検査

射精された精液中の精子の状態を確認する検査です。 2~5日間禁欲後、採精容器に用手的に採取し、精液の量・1ml中の精子の数・運動率・奇形率・正常形態率などを顕微鏡で確認します。

各種ホルモン検査

血液や採取してホルモンの値を測定し、ホルモンの乱れがないかを確認します。一部、尿の採取によって調べる検査もあります。

FSH(卵胞刺激ホルモン)・LH(黄体化ホルモン)

脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンで、卵巣に働きます。FSHは卵胞を育て、LHは排卵を起こし黄体を形成します。検査では、脳下垂体機能、卵巣機能を評価します。

エストロゲン(卵胞ホルモン)

卵巣から分泌されるホルモンで、卵胞の発育や子宮内膜の増殖などを評価する検査です。

プロゲステロン(黄体ホルモン)

卵巣から分泌されるホルモンで、排卵の有無や黄体の働きを評価します。

プロラクチン(催乳ホルモン)

分娩後授乳期間中に下垂体から分泌されるホルモンで、乳汁の分泌を促進させます。

T3・T4・TSH(甲状腺ホルモン)

甲状腺疾患によって無排卵や月経異常が起こっている可能性がないかを確認します。

テストステロン※必要と判断された場合に行います 男性ホルモンの一種ですが、女性でも副腎や卵巣からこのホルモンが分泌されています。

内分泌負荷テスト※必要と判断された場合に行います継時的に脳下垂体からのLH、FSH、PRLの分泌状態を調べます。

尿を採取して調べる検査

排卵時期を予測するために、尿中のLHの量を測定します。

基礎体温

基礎体温計女性の身体は月経周期により変化します。基礎体温を毎日測定することで、排卵の有無や排卵後の黄体機能などの卵巣の働きを知ることができます。基礎体温は不妊治療のベースとなる重要なデータとなります。測定は、朝起きて身体を動かす前に行い、婦人体温計を用います。基礎体温表に毎日の数値を記録して、ご来院の際に持参いただきます。

超音波検査

超音波を当てて身体の内部を調べる経腟超音波断層装置です。細い棒状の経腟プローブを膣に入れて検査を行います。子宮内膜の厚さや卵胞の発育程度を確認するほか、子宮筋腫、子宮腺筋症、卵巣嚢腫などの有無を診断できます。

子宮頚管粘液検査

子宮頚部から分泌される粘液である頚管粘液を子宮口から特殊な注射器で採取して調べる検査です。頚管粘液はで月経周期によって量や性状が変化するため、量・色調・粘性・シダ状結晶の有無を調べることで、排卵時期の推測や卵巣の機能を知ることが可能です。

フーナーテスト(性交後試験)

検査を行うタイミングが重要な検査です。3~4日禁欲し、医師が指定した排卵数日前~排卵日頃に性交渉を持ち、その当日か翌日朝にご来院いただいて検査します。子宮口入口や子宮頸管内の粘液を採取して、精子の数や動きなどを観察し、管粘液が精子の通過を阻んでいる可能性がないかを確認します。結果によっては複数回の検査が必要になる場合もあります。

抗精子抗体

複数回行ったフーナーテストで結果が思わしくない場合に行う血液検査です。この検査では、精子を外部からの異物として攻撃し、排除してしまう抗体がないかを確認します。抗体価の高さにより、その後の治療内容が大きく変わってきます。特に強陽性の場合には早めに人工授精などを検討する必要があります。

子宮卵管造影検査

子宮腔の形、大きさ、卵管の通過性、狭窄の有無などを調べるための検査です。カテーテルで子宮の入り口から静かに造影剤を注入していき、レントゲン撮影を行います。造影剤が入ることで卵管の軽度な癒着を広げる効果も見込めるため、狭窄が改善して妊娠しやすい状態になるケースもあります。

クラミジア検査

クラミジアは、卵管周囲の癒着、卵管閉塞の原因になります。血中の抗体を調べる血液検査、あるいは綿棒で子宮頚部を拭いて粘液を確認し、感染の有無を調べます。

TEL:047-378-5520 お問い合わせ
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